OpenAIが独自のWebブラウザを数週間以内にリリースするという情報が入りました。これは単なるブラウザではなく、GoogleのChromeに真っ向勝負を挑む戦略的な一手のようです。
詳しく調べてみたので内容をお伝えします。
参考:Open AI Cookbook「Introduction to deep research in the OpenAI API」
URL:https://www.cnbc.com/2025/07/09/openai-to-release-web-browser-in-challenge-to-google-chrome.html
発表された情報の要点
今回明らかになった内容は以下の通りです。
- OpenAIが数週間以内にAI搭載Webブラウザをリリース予定
- ChatGPTライクなネイティブチャットインターフェースを内蔵
- AIエージェント機能の直接統合が可能
- ユーザーのWeb行動データへの直接アクセスが目的
- GoogleのChromiumをベースに開発
戦略的な狙いと背景
このブラウザの真の狙いはGoogleの収益基盤への挑戦にあると考えられます。Chromeは単なるブラウザではなく、Googleの広告事業(全収益の約4分の3を占める)を支える重要な柱です。
ユーザーの行動データを収集し、より効果的な広告ターゲティングを可能にする役割を担っています。OpenAIがこの領域に参入することで、Googleの牙城に直接切り込む形となります。
技術的特徴と機能
独自のユーザー体験
- 従来のWebサイトへのクリック移動ではなく、チャットインターフェース内での情報完結
- AIエージェント「Operator」などの直接統合
- ユーザーに代わってタスクを実行(予約取得、フォーム入力など)
データ収集とコントロール
- 他社ブラウザへの「プラグイン」ではなく独自ブラウザとして開発
- ユーザーのWeb活動データへの完全なアクセス
- データ収集に関する完全な主導権の確保
競合他社との状況
ブラウザ市場は厳しい競争環境にあります。Chromeは30億人以上のユーザーを抱え、世界シェアの3分の2以上を占めています。AppleのSafariでさえ16%のシェアに留まっているのが現状です。
一方で、AI分野では既にPerplexityが「Comet」というAIブラウザを発表済みで、The Browser CompanyやBraveなども同様の製品を展開しています。
これらの現状から、AI搭載ブラウザ市場は急速に形成されつつあることが伺えます。
法的・政治的な背景
興味深いのは、アメリカ司法省がGoogleのChrome売却を求めている時期と重なっていることです。Googleがオンライン検索で違法な独占状態にあるとの判決を受け、Chrome分離が検討されている中での発表となっています。
OpenAIの幹部は以前、独占禁止当局がChrome売却を強制した場合、購入に興味があると証言していたとの情報もあります。
開発体制について
OpenAIは昨年、Google Chromeの開発に携わった元Google副社長2名を採用しており、ブラウザ開発への本格的な取り組みを示していました。
また、5月にはAppleの元デザイン責任者ジョニー・アイブ氏のAIデバイススタートアップ「io」を65億ドルで買収するなど、ハードウェア分野への展開も積極化しています。
AIひとりの見解

生成AIの登場により検索機会が減っていく中、AI×ブラウザがどのようなユーザー体験を実現してくれるのか楽しみでもあります!
これまでOpenAIはソフトウェア中心でしたが、ブラウザという「インフラ」レベルに手を出してきました。単なる競合製品ではなく、ユーザーのデジタル生活の根幹部分を狙っているのが明らかです。
特に注目すべきは、ChatGPTの週間アクティブユーザー5億人という数字です。もしこの一部でもブラウザに移行すれば、一気にシェアを獲得できる可能性があります。Google検索に頼らずチャット内で情報が完結するという体験は、確実にWeb利用の形を変えるでしょう。
ただし、単にAI機能があるだけでは長年の習慣を変えるのは難しいかもしれません。それでもOpenAIがここまで本格的に挑戦してくるということは、彼らなりの勝算があるのだと思います。
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